本音

人は、どういうときに「本音」が出るんだろうと考えてみた。

シチュエーション的には、

飲んだとき。
自制心がはずれたとき。
開放的な空間に居るとき。
二人のとき。

ならばそのときの感情の変化は？

ない。

もともと心の中で思っていたことが、単に外に出るだけ。
相手から、図らずも感じ取ってしまう感情。
正でも負でも。
それらの感情を、靄の中で感じているのと、
言葉によって明確化されるのとでは、
心に対する衝撃は全く違うのだと思う。

相手から感じとっていた感情を、本人から言われるなんて。

黙っていさえすれば。
長く続いたかも知れない。
思っていても隠し通せたなら。
もっとお互い、知る機会を増やせたかもしれない。

今となっては。
過去仮定でしかなく。
一度壊れてしまった感情を修復するには、あまりに細かく砕けてしまっていて。

好き嫌いは、激しい方。
でも、それを隠せるくらいは、大人になれていると思う。
云ってしまっては、「終わり」のこと。
云わなくてよいこと。
それを見極められる人は、逆に「ついていい嘘」を知っている人なんじゃないかとも思う。

嘘、はいけないと思っている人も多いと思うけれど。
体裁を整えるためでなく。
相手を思って・・・などと偽善ではなく。

伝えなくていいことは伝えない、そう判断できる人がいい。
「だれそれが、あー言っていたこー言っていた」的発言は耳半分で。
不安な本人からの疑問に、簡単に嘘をつける人がいい。

だって、人間の感情なんていうものは。
移ろいやすくて、変化にとんでいるものなのだから。

スキがキライ、キライがスキ、に変わる事。
そんな正反対のことだって、大いにあることなのだから。


本音は怖い。
バリアがお互いはずれているシチュエーションで。
どちらかは牙をむき、傷を負う人がいる。

酔うと物静かになる私は。
警戒心が強い方なのかもしれない。
けれど傷を忘れるくらい飲むことも出来ないから。

守らなくちゃいけない。
哀しいことと解かっているけれど。
自衛する、自分がいる。